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REALKITCHEN&INTERIOR
リアルキッチン最新刊が発売!
前回の続きでドイツ・フランクフルト「アンビエンテ」フェアの会場から。
なんだかとても気になった陶器があった。
薄手でぼこぼこ、ざらりとしていて不揃いな感じ。和食器にも洋食器にも見える。
毎年このフェアでは若手のデザイナーの新規ビジネスを支援する「タレンツ」というゾーンがある。そこで見つけた陶器だった。でも私が気になったのは用途とかデザインじゃない。製品群から放たれる、なにか雰囲気のようなもの。
まだ焼成前の陶器にも見えるけれど、触ってみるとそれは完成しているのだった。とても薄くざらりとした手触り。そして細かな粒が散りばめられている。
展示をしていたドイツ人デザイナー、ニコラス・プンケットさんはベルリンを拠点にしているデザイナーだという。「11%」そして「カンバーセーションピース」と書かれている。
カンバセーションピース? こういう時、思わず言葉に反応するのは私の質(たち)だ。「これは陶器を展示しているの? あなたは何をする人なの?」と聞いてみた。
「自分は陶器のプロダクトデザイナーでもあり、さまざまな社会問題を問うトライアルもしている」と彼はいう。
この食器から漂うただならぬ雰囲気はなんなのだろう。思わず会話が始まる。