⚫︎Hard material 硬質な黒のマテリアル
和田さんが追求した黒はまずワークトップです。
〝アートスチール〞という金属で、金にも黒にも見えるつや消しのブラッシュドゴールドを特注しています。
そこにネロカルニコという大理石を重ねました。ブラッシュドゴールドのアートスチールは厚み3.2mm。既存の色でイメージが合うものがなく、特注色で仕上げています。
「キャビネットは、銘木の突き板を扱う会社を二人で訪ねて、ポーランド産の8千年前のオークの埋もれ木に出会ったんです。グレイがかった黒に一目ぼれしました」。(和田さん)
「ああ、この黒だって。木の持つストーリーにも魅了されました」(順子さん)
キッチンはコックピットのような使い勝手を実現。すべてが手の届く位置にあり、壁の隙間などデッドスペースを活用して収納を設けています。
扉を開けると順子さん手づくりの食器や作家ものの器、ワイングラスが。「お気に入りのものの場所です」
背面収納にキッチンツールの引き出しがあり、中まで丁寧にウォルナット材で仕上げています。
ビルトインオーブンはミーレ社のスチームオーブン。水栓金具はドンブラハの〝ジンク〟。「男前なデザインが好きで、キッチン全体のテーマでもあります」と順子さん。
和田さんが予算を惜しまなかったのはアスコ社のブラックステンレスの扉材の冷蔵庫。2ドアタイプで上段が冷蔵庫で下段が冷凍庫。ワインホルダーも付いています。
ドアハンドルが秀逸。ロゴの刻まれた金属の質感に引かれたと和田さん。扉のスチールも手あかの付きづらい特殊塗装となっています。
「ここまで黒の素材を選び抜いたから冷蔵庫も妥協はしたくなかった。黒のオーク材に、この黒の冷蔵庫のフェイスが完璧に似合った。中の棚板もガラスで高級感があります」と和田さん。