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The Elevation of Gravity
ガゲナウが目指す究極の静けさ
「黒という色を二人で考えました。月の光や陰影、それでいて色っぽい黒いキッチンを、と主人に頼みました」(順子さん)
「塗りつぶしたような黒じゃなく、木、ステンレス、真鍮、塗装、石、布。さまざまな素材の黒を見ました。結果、黒なのに見えない色を感じる、カラフルなキッチンになったと思います」(和田さん)
ダイニングテーブルとして使うカウンターの素材は大理石のネロカルニコ。白いスクラッチが入ったような柄の表面を、アンティークのような古びた表情に加工しています。
カウンター下にもやっと流れる雲のようなラインは、ユーカリの白太(シラタ)部分。見えるようで見えない色っぽさを、個性的な素材で表現。
「ユーカリを燻蒸させた材です。一般的にはこんなにきれいに染まらないのに、白太の部分がきれいなラインで流れている部分を見て、これだと」(和田さん)スツールはオリジナルデザイン。細いレッグでキッチンの景色を邪魔しません。
「小さい照明ですが、実はこの空間のイメージをよく象徴しています」と順子さんが選んだのは、フロス社のスタンド照明〝ボンジュール・ヴェルサイユ〟です。