●猫と見つめ合ったり、非常階段を登ったり
田中:今回、岡村さんが印象に残っているのはどのキッチンですか?
岡村:2つあるのですが、1つはP70-の”INSPIRATION TALKS”のキッチンです。猫がいるお宅だったのですが、とにかくカメラ好きの猫で、カメラを向けると興味津々で近くにきます。そうやって撮れたのがP71の写真なのですが、猫がいるのといないのとでは全く違う写真になっていたと思います。自分ではどうしようもできないところで起きるちょっとした出来事にワクワクします。
岡村:そしてもう一つが表紙のキッチンです。これはバルクッチーネのショールームにあるキッチンなのですが、実は非常用のはしごで吹き抜けのへりに上がり、ある意味命がけで撮影しました(笑)
岡村:ファインダーを覗けるような角度ではなく、カメラを下に構えて撮ったのですが、オークのフローリングとオーク材のカウンタートップの質感がうまく出てくれたように思います。
最後に、 本間さんに岡村さんの魅力を尋ねたところ、「体力があるところ(笑)」と笑う本間さん。そこには数々の撮影を共にしてきた、お互いへの信頼感と強い絆を感じることができました。互いの専門性を尊重しながら、キッチン、インテリア、建築の世界に新たな写真とスタイルで挑む想いは、Season 8にも引き継がれることでしょう。
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インタビュアー:田中 裕美子 (REAL KITCHEN & INTERIOR PR)
取材・文/本間美紀 Reported by Miki Homma/journalist
リアルキッチン&インテリア著者 早稲田大学第一文学部卒業後、インテリアの専門誌「室内」編集部に入社。独立後はインテリア視点からのキッチン、家具、住まい、家電、キッチンツールまで、デザインのある暮らしの取材を得意とし、建築家住宅の取材は300件以上、ユーザーとメーカー、両サイドからのインタビューを重視し、ドイツ、イタリア、北欧など海外取材も多く、セミナー活動も増えている。著書に「デザインキッチンの新しい選び方」(学芸出版社)「リアルキッチン&インテリア」(小学館)
撮影/岡村享則 photograph by Yukinori Okamura /Photographer
リアルキッチン&インテリアを代表するフォトグラファーとして活躍中。大学で住居学を学んだ後、桑沢デザイン専門学校へ。建築写真家の事務所で修行。独立後は大手新聞社でジャーナリスティックな撮影を手がける。その経験から得られる現場感覚とデザインへの感度でストーリーを紡ぐようなライフスタイル撮影に定評がある。暮らし、インテリア、料理などの撮影のほか、釣り雑誌での連載を持つなどアウトドアマンとしての顔も。