『REAL KITCHEN & INTERIOR』では、これまでにたくさんの実例を紹介してきました。単行本『人生を変えるINTERIOR KITCHEN』はこれまでの取材を集大成した1冊。家やキッチンの大切さについて考える人も多い今、連載形式でこの単行本の内容を本サイトにて無料公開いたします。その16回目。夢をかなえたインテリアキッチンのストーリーです。
My REAL KITCHEN04 : INDUSTRIAL CHIC
Ayako’s Kitchen
●自転車にコーヒー、二人の趣味の場所
亜矢子さんの朝はコーヒーを淹れる香りからはじまります。キッチンというより、焙煎所のような雰囲気が漂っています。
「夫がヴィンテージのコーヒーグラインダーを譲り受けたのがきっかけで、時間がある限り、豆を挽いてコーヒーを楽しむようになりましたね。休日の朝には夫が豆を丁寧に挽いてコーヒーを淹れます」
住まいは大きな箱のような空間で、建築家の井上聡さんが設計しました。
──キッチンも家具もオブジェのように決まっています。
「選んだのはキッチンハウスから設計当時出ていた〝アーキワン〞というモデルです。にじんだような墨色の箱のような感じが好きでした。家づくりをはじめたころはステンレスの業務用をアレンジする、コンクリートでつくってしまうなど、さまざまなアイディアが出ましたが、このキッチンを設計者の井上聡さんにすすめられたとき、潔いほど直線的な箱のような姿に、迷いなく決められました」
──日本のキッチンの色といえば長く清潔感のある白や、温かみのある木が主流でした。グレーやブラックの濃色のキッチンは、ずいぶん一般的になってきたように思います。
「特に意識したわけではないけれど、夫婦そろって無駄のないものや、素材そのままの表情が見えるものが好きです」