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Our Home, A Private Resort
ホテルライクハウスの知的なキッチン
このコラムをがんばって書こうと、改めて決意したのが2022年の3月の初め。時々、休みながらも書くことを続けている。聞く。読む。話す。書く。それは私のすべての基本だと思う。自分は得意分野や突出した技術を持たないけれど、基礎練習や基本を学び直すことが好き。地道に積んでいくと、できることがいつの間にか一つ増えている。
さて、そんな話が何に続くというかというと、20年以上も家具やインテリアを取材しているけれど、基礎知識は何度も復習する。デザインはやはり時代をめぐって回帰してくる。その時バックボーンになる知識があるかないかで、見え方が変わる。そんなわけで「椅子とめぐる20世紀のデザイン」という企画展の内覧会に行ってきた(会場:東京日本橋髙島屋)。
家具の研究家、織田憲嗣さんの「織田コレクション」から選び抜かれて、展示され、1901年以降、近代から現代へのデザインの移行が椅子や家電、生活道具とともに理解できる。
「室内」編集部の新人時代、先輩のアシスタントとして織田先生直筆のお原稿の入稿を手伝った。水色の線の方眼紙に書かれた細い文字。固いトレーシングペーパーにロットリングで丁寧に描かれた繊細なイラストを扱うのは、本当に緊張した作業だった。