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言葉の想像力

2022.08.01 キッチンジャーナリスト本間美紀

【本間美紀のコラム 2022/08/01】

●料理本や食コラムを味わう楽しみ

一人になれる週末はワインを飲みながら、料理本や食コラムを1行1行楽しむ。
料理本は写真がたくさんあるものよりも、文章だけの本が好き。

頭の中に著者本人が現れて、なぜそれをつくるのか、どうして美味しくなるのか。厨房に立つ人しか伝えられない言葉で教えてくれる。知らない専門用語に出会うとどきりとする。

手元に食べるおつまみがなくなっても、料理の文章を読んでいると、想像の味だけで十分におつまみになる。

とても前に80字レシピという本が流行った。著者の料理研究家は長年、料理編集者として、現場取材の経験を積みに積んで、だからこそ手順のエッセンスを80字に濃縮してわかりやすくすることができた。その偉業をしたからヒットした。

その後、2匹目のどじょうをねらう本がたくさん出て、おしゃれっぽいけどピントの浅い料理写真と無機質なスペックと作業手順を記載したレシピ本が世にあふれた。

「短くする」難しさと意味がわかっていない。だからそこにはコツも心もないから、何を読んでも共感できず、料理も美味しくできない。

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