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Days & Stories

船を見にゆく
2022.04.25 キッチンジャーナリスト 本間美紀

[本間美紀のコラム 2022/04/25]

●船を見にゆく

イタリアの家具と船の関係が深いことは、なんとなく知っていた。

家具の「B&Bイタリア」や「パオラ・レンティ」と関係の深い安田造船所とのご縁で、「ジャパンインターナショナルボートショー2022」というイベントに行ってみた。

船とインテリアの関係を改めて見てみたいという好奇心からだったが、会場となった横浜のベイサイドマリーナはアジア最大級の停泊所なのだという。ヨット、クルーザー船などのブランドが一堂に集まる。

イタリアの家具見本市で、家具のメーカーと話していると、当社は客船やクルーザー船のファニッシングもできる、と誇らしげに説明を受けることが度々ある。船の内装は難易度が高く美的センスも問われる。家具の職人にとってその仕事はステイタスなのだ。キッチンでもブランド名の最後にマリンとつけた、船舶専用キッチン部門を持つところは少なくない。

当日は残念ながら冷たい雨。慣れないながらも、いくつかのボートを見てまわった。船は同じ乗り物でも車とはまた違うもので、居住性を求められる。家と船の共通点を感じた。価格は億単位。海なのに雲上人の世界である。

安田造船所が取り扱う船は「アジムット」という飛びぬけたイタリアのトップブランド。いくつかの船を見た後に、アジムットの船内に入ると、すでに匂い立つような華がある。最新の操縦システム。滑らかな革で張られたソファはまさにイタリアンインテリア。一流のものというのはこういうことか、と体感する。


キッチンはコンパクトながら本格的な料理ができるように、冷蔵庫やワインセラーはもちろん、ミーレのオーブンやIHクッキングヒーターまで備え、収納は船の揺れでワイングラスや皿が割れないように一つ一つが、専用の位置に収められるように細工が施してある。

海上という世界に漕ぎ出す時、船の中は本当にその人にとってのホームなのだ。数々の危険を潜り抜ける。これほど人を守るホームはない。一方で天気がよく穏やかな海で過ごす時は、どんな高級ホテルにもできない特別感があるのだろう。

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