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Two Minds, One Home
この家は二人のチャレンジ
・宝石(ジェム)をまとったソファ
今年のエドラは家具としての新作は出していなかった。けれどもショールームに入ると、昨年も見ていた幾何学的なソファが神秘的な光をまとっていた。

宝石や鉱物からヒントを得た、輝く生地を開発していたエドラがソファの張地『GEMS』『MINERALS』をお披露目していた。生活の中の耐久品として、消耗も激しいソファの表面で輝きを失うことなく、手触りよく過ごせるテキスタイルだ。特に上の写真のブルーの光の粒感は、実物じゃないとその魅力を伝えられない。糸のパイルの海の中に蛍のように輝く粒が点在しているのだ。

小さなサンプルボックスはまるで宝石箱のよう。輝きは空間の中では落ち着いた光となる。

昨年、インタビューしたモニカ副社長が熱心に話してくれた輝く生地が実現したのだった(写真は昨年のもの、本当はサングラスをかけた姿がオフィシャルだけど、生地を手にして熱心に話す表情をスナップ)。

毎年、新作をやたらと出さない。それは家具のハイブランドにすっかり定着したサイクルとなって、エドラもその一つ。私も毎年、多くのイタリアブランドで同じものを何度も見る。それでもその度に感動したり、新しい側面を見つける。これがミラノ取材のすごいところ。だから何度行っても飽きない。何回、同じものがあっても新鮮。それを何十年も続けているのだ。

それでもその時間はイタリアの歴史の一つの点にしか過ぎないことに、ため息が出る。
コラム=本間美紀(キッチン&インテリアジャーナリスト)
Text=Miki Homma(journalist)