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右脳と左脳、校了していつも思うこと

2024.07.18 キッチンジャーナリスト本間美紀

【本間美紀のコラム 2024/7/18】

久しぶりにコラムに向き合います。

7月29日に「リアルリビング&インテリアISSUE03」が発売になります。4月にイタリアの出張や日本での様々なイベントや新製品発表会、インタビュー、読書、、、、さまざまな要素を熟考していたら、あっという間に3ヶ月が経って、1冊の本ができた。

「本」という形はメディアとして、とても優れていると改めてこの時代に思う。特に私がつくっているムックは、ページをめくることで、目に飛び込んでくるビジュアルがエモーションを醸し出す。

足を運んでみて感じたこと、資料を読んで調べ考えたこと、すべてそれによってページは組み立てられていく。絵面ありきでつくっているわけではない。考え、意思、言葉が先に来る。

その流れで写真を組み、できたページレイアウトに文字や言葉を「文章」として入れ込んでいくのだけれど、取材や資料の時とは違う何か、心のようなもの、も加わることになる。
文章は始まりであり、最後の仕上げになる。

執筆は山のような編集事務作業の合間に行う。初めにそこがありきでスタートしているから、自分の中では実はもうできている。まさに産む作業。執筆は構成を練り、余計な情報を捨てる作業が80%を占める。残った20%が文章になり、その中にどうしてもどうしても削りたくない言葉を残す。たとえそれがいびつでも、理屈がうまくつながってなくいなくても、書きたい言葉がある。

世の中の現象を見ていると、これまでのルールやフォーマット通りで表現できないことが増えている。。それが今回、私に立ちはだかった難題。途中からそこは考えず、思ったままに行こうと決めた。直感のようなもの。最近、その大切さを忘れていたから。


このコラムを読んでくださっている皆様のツジツマが合うようにまとめる。本はテーマを決め、取材をして、話を聞いて、感じて、考えて、事実確認をする。そこから緻密に構成を立ててゆき、ここが一つの山。それが用紙の歩留まりにあうように、台割というページ数の中に内容を整理して落とし込んでいく。これ、左脳的な作業

ただしその構成のもとになっているのは、伝えたい、表現したいという情動で、ここが強くないと本は完成しない。ビジュアルづくりも言葉もできるだけ、常識にとらわれないで、想像力と創造性を解放する。右脳的な作業

自分が苦しくて紋切り型な言葉にすがっていたら、校正の時に厳しく自身を戒めて赤字を入れる。

セミナーやトークは自由に言葉が話せていい。伝わりやすい。ただ、その瞬間、空気のように消えてしまうのではないかと、ふと思う。一言でも持ち帰ってくれれば嬉しい。一方、本は確実に残る。読み手の経験や理解度や好み、教養で受け止め方が違う。読者の解釈で自分が考えているものとは違うものに昇華し、その人の人生の一部となってくれれば、この上なく幸せ。
いつもいつも同じことを感じて、校了する。今回もそう。

7月29日発売の「リアルリビング&インテリアISSUE03」。どうぞお手に取って、皆様のご感想をお聞かせ下さい。

そして7月29 日夜には小学館本社(東京・神保町)で出版記念トークショー(会費制)も開催します。ぜひお待ちしております。

コラム=本間美紀(キッチン&インテリアジャーナリスト)
Text=Miki Homma(journalist)

【本間美紀のコラム/バックナンバーはこちら】

⚫︎この数年の家具の新しい考え方をミラノサローネに絡めて知りたい方、全く新しいタイプのインテリアムック「リアルリビング&インテリア01/02」は本当におすすめです。ぜひこの機会にご一読を!


REALLIVING&INTERIOR 01


REALLIVING&INTERIOR 02

リアルリビング&インテリアISSUE03(小学館)
著:本間美紀
2024年7月29日発売

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