●ものづくりに実直なブランド
対応してくれたのはエクスポートマネージャーのマーティン・ディードリッヒさんです。彼によるとアルミルモは150人が勤務し、毎週200セットのキッチンを生産しています。創業者のハインツ・ミルフスキーは陸軍出身で、戦後、家具製造を学び、職人やデザイナー、営業、広告担当者と優れた人材をまとめる組織力で、戦後の好景気の波にのってキッチンのビジネスを拡大させていったそうです。
木工やカービング、塗装、メラミンなキッチン扉の全ての工程を自社で保有しているので、細かな注文にもすぐに応じることができます。マットからダイヤモンドと言われる硬くて光沢のある塗装のバラエティ、各種の突き板はもちろん、オリーブやレモンの木、チーク、ゼブラウッド、マッカーサーなど希少材も材料からストック。ラミネート、ガラス、無垢材、コンクリートパネル、またリブや角丸のデザインなど個性的な扉デザインと、アルミルモは世界でも珍しい「扉材に強い」キッチンブランドでした。
●たとえば波のようなリブー立体的なキッチン扉
「すべてが100%、メイド・イン・ジャーマニーです。他社のように扉は材料メーカーから供給を受けるということはしていません」とマーティンさん。特にシンボリックな扉が波状のリブが付いた「コントゥーラ」。最後、鏡のように磨き上げる決まった女性の職人さんがいるそうです。このような立体的な形状なのに、角部は丸く、側面まできれいに収まっています。個性的なデザインでもディテールまで考えられているのです。
最新作では、同じリブのデザインでもさらに細くなり、洗練され、ミニマルデザインの空間にもなじむようなタイプが発表されました。
アルミルモの扉デザインは、デザイン、モダン、クラシックと大きく3つのジャンルに分かれていますが、「562パターンあり、色や塗装のバリエーションと合わせると1000種類以上から選べますよ」とマーティンさん。特に印象の強い柄や色は、ドバイやマイアミなどの高級地のコンドミニアムに多く採用されています。集合物件では通常、キッチンのプランはシンプルになりますが、扉のデザインに個性があれば、それだけで空間が豊かになります。そんなデザイン効果から、アルミルモが選ばれることが多いそうです。