KITCHEN
Once upon a time…03

昭和の家のキッチンリノベーション03

2017.01.12 本間美紀

●インテリアと一つになるキッチンは昭和の家でもできる

木の柱、砂壁(というのかしら)で新建材一切なし。ふすま、障子だけのドアレスハウス。畳のお座敷。そこに自然に馴染んだ「木箱のようなキッチン」と杉の板の間。キッチンが景色になる。インテリアと一つになる。というのは別にお洒落なインテリアやデザイン空間だけの話ではないのですね。「暮らしにしっくりなじむ」「その家族らしさを出す」ことは、可能なのです。

今回に関しては、安く早く便利なキッチンを交換してくれる業者さんはたくさんいたけれど、両親は「ピンとこなかった」「心理的に抵抗があった」。一見、ネガティブに見える気持ちに向き合い、整理したことで「長く大切にしてきた古い家の雰囲気に、接木したようなリフォームをしたくない」という、エモーショナルな問題を発見。そこでモノで解決するのでない、地元の木を多用する自然派工務店に依頼をする決定にしました。

例えばこれは別のケースも想定できるわけです。もし「この古い家が苦手で、モダンで現代らしい空間に変えたい」という結論だったら、デザインを得意とするオーダーキッチンでも良かったわけです。または「空間にはこだわりがないから、早く変えたい」ということであれば、施工性に優れ納期も早いメーカーキッチンでサクッと交換がベストです。

つまり「モノありき」ではなく、想いありきのほうが早く結論が出るような気がします。そして多少コストが予定外だったとしても、暮らしと気持ちの根本的な解決をしてくれるので、長い目で見ればお得なのではないかと感じます。それは今まで取材してきたどのキッチンのお話でも思うことです。

ということで再びこちらの心構えもお読みくださいね。

昭和の家のキッチンリノベーション01

昭和の家のキッチンリノベーション02

この記録撮影に協力してくれたフォトグラファーの工藤朋子さん、ありがとう!(撮影:2007年)

撮影=工藤朋子

・この工事は2007年に行われたものです。10年前のお話ですのでご注意ください

設計島建築事務所 http://sekkei-jima.com

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