トーヨーキッチンスタイルのキッチンは、いつも「住空間とのキッチン」の在り方を考えるところから始まります。久々の新作「Q ランド」も、キッチンを暮らしの中心に据えたとき、暮らしがどんなふうにキッチンを包み込んでいくのか。そんな分析に裏づいたものでした。
「Q ランド」は日本の住宅の現実に即した155〜185センチのコンパクトな間口で、ダイニングテーブルを兼ねるキッチンを部屋の中央に置き、ダイニングやソファ、冷蔵庫までに囲まれる、自由度の高いレイアウトを提案するもの。
深いシンクの中に段差を設け、高低差を利用して切る、洗うなどの「ゼロ動線シンク」は同社のキッチンのすべてに共通する根幹の機能。
これがさらにパラレロという、調理スペースがスライドし左右上下どこからでも使える高機能シンクに発展しています。このシンクをキッチンの角に配し、それぞれの両脇に加熱機器を備えることで、4方向からイージーアクセスできるという考え方です。
キッチンの一部が食事のテーブルを兼ねるので、ダイニングレスの間取りも可能。日本の狭い空間で、キッチンが家具を兼ねるというトーヨーキッチンスタイルの思想が、追い込んだサイズの中でも、調理機能を広げていくという、同社の研究力が発揮された新作といえます。
開発を指揮する同社社長の清本英嗣氏は、一見華やかでデザイン重視のように見えるトーヨーキッチンスタイルのキッチンに、理論的な根拠を与え、本当に使いやすいキッチンを開発しています。
高齢化社会によって進む住まいのコンパクト化、コロナ禍の時代での家族の家での過ごし方の変化など社会状況からライフスタイルの未来を読み解き、家具とキッチンの関係を常に見直しています。
新作の発表で強調していたのはパッションオレンジ。オレンジは今年のミラノサローネ会場でも目立っていた、トレンドカラー。こういった色に果敢に挑戦していくのも同社のスタンスといえます。他にラスティックオークも揃います。