フィンランドの国民的ブランド
北欧スタイルのキッチンの主役といえばやっぱりイッタラ。フィンランドを代表するキッチンウェアブランドで、イッタラ村の小さなガラス工房から始まった。その代表作はフィンランドの建築家アルヴァ・アアルトによる曲線の花器(右)や、カイ・フランクによるシックな食器のシリーズ「ティーマ」だろう。フラワーベースはフィンランドの自然をモチーフとし、7人がかりでひとつを製作するという。見る人がみれば、どの職人がつくったか、わかるほど手作業によってつくられている。1937年のパリ万博のフィンランド館で発表された、息の長いデザインだ。「ティーマ」は1948年にデザインされた食器がベースになり、現在では電子レンジや食器洗い機に入れやすいように改良されている。最近ではセラドングリーンが発売になるなど、新しいカラーリングも登場。日本の家庭でも多く見られる定番食器として愛用されている。ほかにもマルチボーダーの「オリゴ」、幻想的な鳥や花の柄の「タイカ」など、北欧グラフィックの流れを汲む美しい食器を生み出してきた。ステッチのような模様や色などが入った「サルヤトン」も人気。イッタラの食器はいずれも重ねる、並べる、洗う、といった実用性が優れている。違うシリーズ同士を並べてもデザインの相性がいい。美しさに目がいきがちだが、実用的なヒューマンデザインがイッタラのべースになる。食器類ばかりではなく、お鍋やカトラリーもあり、総合的なキッチンウェアブランドとしても知られる。鋳鉄の本体に木のハンドルがついたお鍋もイッタラの製品。1960年にティモ・サルパネヴァがデザインしたものだ。毎年発表されるガラスの鳥のオブジェ「バード・バイ・トイッカ」は、通称〝イッタラバード〟とも呼ばれ、コレクターズアイテムとしても名高い。