TOPICS
Days & Stories

名刺について考えている

2025.08.28

[本間美紀のコラム/2025/8月28日】

名刺について考えている。これだけデジタル化して、結構重要な連絡もラインなどの簡易な方法で来る時代。名刺とはなんだろう。

海外にいってもやっぱり「Do you have name card?」と言われることがある。特に私はいろいろな立場があるため、名刺のあり方には悩むところだ。

まず独立したジャーナリストとしてキッチン、インテリアを中心としてデザインはもちろん、そこを軸にかなり幅広い分野まで編集執筆をする。

さらに編集執筆以外に増えているのが、社内勉強会やイベント、セミナーのお仕事。ジャーナリストとしての取材やリサーチをベースに、その内容は依頼主が求めるオーディエンスの「着地点」によって語りかける言葉も、アティチュードも変わってくる。

また意見交換やファシリテーター的な仕事も多い。シンクタンク的な役割も果たしている。

そしてメインとなっているのは、「リアルキッチン&インテリア」「リアルリビング&インテリア」の2つのメインメディアの著者という立場。いつのまにか姉妹メディアができ、まとめて代表することもあれば、それぞれの立場をとることもある。この場合も一つに統合するのか、それぞれなのか。

自分という立場と役割、そして仕事内容の中身をを明確にする、水先案内を果たすの私の名刺。

とはいえ、今は手伝ってもらいながら、アスクルで作った海外向けの名刺をとりあえず使っている。名刺のスタンスは整っている方が性格的に楽なのだけど、今は宙ぶらりんになっている。

先日あるパーティで受付に並んでいて、目の前の男性の名刺が目に入ってきた。日本によくある漢字四文字の名前。その四文字が名刺の角の四隅に離れて配置されていた。不思議にその名前はきちんと頭に入ってきた。ものすごいグラフィックデザインの力。人を驚かせようとして四隅に文字を離したのではなく、自分自身の中身に自信があるからできることなのだと伝わってきた。

ただし肩書きはその文字の合間に配されていたから、小さくて見えなくて、職業はわからなかった。でもたった1秒か2秒、後ろからチラリ見えて、その名刺の印象が忘れられないんだからその人は、グラフィックデザイナーに間違いない。でも何の仕事をしている人なのか、今まだ気になっている。

そういうデザインは頭で考えようと思ってもできるものではない。間違いなくその人の才能。だから彼に興味を持つ。それが本来の名刺の力。

それっぽいデザインならアスクルの名刺サービスでもキャンバなどのアプリでも、簡単にできてしまう時代。
だから名刺のデザインはデジタル時代においてなお、より意味のあるものになっている。

写真はイメージです(笑)。

コラム=本間美紀(キッチン&インテリアジャーナリスト)
Text=Miki Homma(journalist)

【本間美紀のコラム/バックナンバーはこちら】

Recommend

TOP