Kitchen
amstyle
あむすたいる

ガゲナウのオーブンがビルトインされたキャビネット

同じ黒でもいろいろな表現がある

素材感の際立つ美しさ

白や黒、木目、ステンレスだけ──潔く絞ったキッチンデザインは、1997年のデビュー時から異彩を放っていた。社長の清水克一郎は異業種からアムスタイルを設立。直線的なスタイルが中心で、目に見える派手なデザインはないが、質感は徹底的に作り込む。

その名が知られるようになったのは独特のセンスの「エナメル塗装」だ。ピアノを思わせる、黒の塗装のキッチンは、ただそれだけなのに、迫力を醸し出す。現場の光の入り具合でキッチン扉の塗装の厚みを変える、つやの加減を調整する。もちろんほかの色でも同じことで、その家だけの色を生み出す。写真のキッチンも、手前は塗装の黒。奥の吊り戸棚は酸化皮膜によるステンレスの黒など、同じ黒でも違う表現をするのがアムスタイルらしさだ。最近では銅色のアルマイトなど、新しい素材感にも挑戦している。

一方でキャビネットの寸法も、求める機能とキッチンが入る建築の天井高さなどを考慮し、独自のバランスで「面割り」する。すると独自の〝アムスタイルプロポーション〟が生まれる。面白いのは45㎝、60㎝、90㎝など15㎝刻みが常識だったキッチンキャビネットの世界にアムスタイルは「素数」という不思議な寸法を混ぜることがある。すると端正だったキッチンにかすかな不調和が生まれて、独特の空気感が建築に流れる。アムスタイルにキッチンを依頼される人は、そんな感覚をわかる人なのだという。

扉と扉の間のスリットやワークトップの小口の厚みもミリ単位で考え、引き出しの中の箱まで無垢のウォルナット材やバーチの積層合板を使う。特製のシンクはすぱっと角を立たせながら、掃除のしやすさを考えた微妙な曲面をつける、など細部まで徹底している。

創業時は東京・代官山のひっそりとしたマンションの一室から始まり、現在はラウンジと呼ぶショールームを東京と福岡に開いている。長時間滞在して、ゆったりと質感を眺めてほしい。

Check point

素材感をとにかく重視する人は、ここのキッチン。ディテールまで美しい。

日本
設立 1993年
主な製品

オーダーキッチン、洗面、リフォーム、ラグ(カスタール)、ソファ(フレックスフォルム)

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